これも、ぜんぶ、冗談だからね。
8月某日。稽古場取材へ行くため港区にある稽古場に向かっていると、主宰の安保氏から連絡が来た。
「お世話になっております。冗談だからね。安保です。 時間が差し迫って参りましたので、確認も込めて、ご連絡いたします。」
わざわざ当日にも連絡をくれるなんて、丁寧な方だなぁ、と思いながら、稽古場の場所や時間についての確認の文言を読んでいると、最後にこんな一文が添えられていることに気付く。
「尚、大変お手数ですが、本日の見学は、ガムテープで仕切られたエリア内のみでのみお願いいたします。」
……ほう。珍しい申し出だなぁ。そんなに厳しい稽古をしているのだろうか。いや、危険な演出でもあるのか…?
いくつか取材に行った中でも初めて聞くNGの文言を少々不思議に思いながらも稽古場に入ると、目に飛び込んできたのはこんな光景だった。
「どうぞおかけください」
「はぁ。」
「こちらを進んでいただいて」
「はぁ。」
「あ、すいません、申し訳ないんですけどガムテープ出ちゃうとダメなんで」
「あ、はい、承知してます!」
「だから座るときとか、頑張ってください!」
「は、はぁ……。」
(写真奥:どうにか椅子に腰掛けようとする実行委員)
予想外のエリアの仕切り方。そのインパクトに若干面食らいながらも通路を進み、狭いエリアの中でどうにか椅子に腰かけると、すぐに稽古が開始した。
この日の稽古で我々が見たもの。
それは演出の安保氏いわく「本番の作品には一切関係ない」場面の数々だった。
なぜ本番にはない場面をこんなに稽古しているのか……
そんな素朴な疑問が時折頭に浮かぶものの、演出の安保氏がハイテンションかつ真剣に進める“本番には全く関係ない稽古”はどんどん白熱し、役者たちの芝居のクオリティもどんどんあがっていく。
およそ2時間は続いた“本番には全く関係ない稽古”。
しかしその稽古で垣間見えたのは、役者たちのパワーある演技の迫力と、演出、安保氏の作品への真剣な眼差しだった。
ーーー
東京学生演劇祭参加作品では、男女の性差の不均衡を演出の構造によって明らかにしていく冗談だからね。その攻めた演出と、作品の勢いは稽古場の端々に現れていた。
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東京学生演劇祭 Cブロック 参加作品
冗談だからね。『BABY・BABY』
2019年
9月6日(金)19:00開演
9月7日(土)15︰00開演
9月8日(日)11︰00開演
9月9日(月)15︰00開演
@花まる学習会王子小劇場
*冗談だからね。扱い予約フォーム
https://www.quartet-online.net/ticket/tstf2019?m=0mggeea
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