複合創作ユニットwakka『kamuy wakka|日輪』講評

堀川炎

取り組むテーマは他の団体と一線を画していた印象。脚本も読みやすく、字面で追うとより情景が見えてきた。扱うテーマに対して上演時間が40分なので短すぎることもあり、後半は若干唐突な印象を受けたが、最後村の人たちが死に至るまでがより丁寧に描かれているとよいと感じた。主人公が目的に向かっていく困難を見るか、もしくは情景をより強く伝えるのか、書き方は複数あるだろうが、少々あらすじを追っているような印象を受け、物足りなさも感じた。Cipkarが主人公(と解釈したのだが)のところを、もしかしたらミナを中心においたほうが、心の揺れ動きが鮮明に表せたかもしれない。脚本に比べて演出は、対面と正面を向いて話す二つのパターンが多く、もう少し演技のよりどころとなる部分を作ってあげたほうが俳優も演技がしやすいと感じたが、対して演技は丁寧だった。衣装は赤もしくは白にジーパンというシンプルないでたちであったが、現代的な印象をうけ、抽象的であったり、種族を分ける色以外の明確な差があってもよかったと思う。

池亀三太

真正面から演劇という表現に取り組んでいて好印象だった。

等身大の物語にとどまらず、その土地の設定から立ち上げてフィクションの物語を描きあげたことが素晴らしい。

脚本の言葉が美しく、それを発話する俳優たちの声も綺麗に調律されているようで心地よい。

 

なにもない空間に俳優だけが立つのはシンプルではあるが俳優にとってはかなり難易度が高い。物語に対して舞台上で背を向けた俳優が余計なノイズになっていた。照明で空間を切り分けるなどの工夫があれば良かったのでは。また、俳優の立ち姿がどこまで意識的だったのかが気になった。身体が生活感のある状態ではない分、一瞬の緩みなどが目についてしまう。

 

「今更だね私たち、お互いに」という一言で二人の歴史が描けていて痺れた。

終わりに向かっていく村の姿にコロナの影響を重ねてしまったが、神話的でとても美しいラストに繋がっていて良かった。

更にいい上演を目指せる脚本だと思う。